小さい子どもを車に乗せるとき、チャイルドシートを装着しますよね。6歳未満の子どもを車に乗せるとき、チャイルドシートの使用が法律で義務づけられているのでみなさん使用しているはず。
チャイルドシートには子どもを「後ろ向き」に座らせるものと「前向き」に座らせるものとがあります。新生児のころは「後ろ向き」で座らせますよね。
ある程度 子どもが大きくなったら「前向き」で座らせます。
日本では1歳過ぎから「前向き」が一般的
「後ろ向き」から「前向き」に変えるタイミングですが、一般的に1歳を過ぎたあたりからです。
JAF(ジャフ)の『はじめてのチャイルドシートクイックガイド』では、赤ちゃんの体重が10kg、およそ1歳頃になったら前向きで使用することを推奨しています。
ウチは回転式のチャイルドシートを使用しているので、1歳までは後ろ向きで使用し1歳を少し過ぎたころに、チャイルドシートを「前向き」にしました。
みなさんもこのように1歳過ぎから前向きにしているかと思います。
前向きの方が、運転中にミラー越しに子どもの顔を見れるから安心ですよね。
1歳で「前向き」にするリスク
でも実は、3,4歳になるまで「後ろ向き」を続けるのが理想なんだそう。
このことは、スウェーデンの車メーカー「ボルボ」の実験結果でも明らかにされています。
ボルボのセーフティセンターで、 ダミー人形を乗せたボルボ車を使った時速56kmの正面衝突実験を行い、ダミー人形の首にかかる力を測定した結果によると、前向きチャイルドシートを使用したときに首にかかる力は、後ろ向きチャイルドシートを使用した時の約6.8倍であることが判明した。
子どもはまだ成長段階にあるため、後ろ向きで座っていたほうが衝撃を背中全体で受け止められ、力が分散されるんだそう。
なので、3,4歳になるまではチャイルドシートは「後ろ向き」を続けるのが理想です。
「前向き」にしたことによる事故
平成29年に、こんな悲しい事故がありました。
平成29年10月、大阪で片側1車線の緩やかなカーブを軽乗用車が走っていました。飛び出してきた小動物を避けようとした軽乗用車は、道路脇の電信柱に衝突。
後部座席に座っていた当時2歳半の男の子が、一時、意識不明の重体となりました。
この事故で、男の子は足や手など首から下の部分をほとんど動かすことができなくなりました。
事故当時、男の子は正しくチャイルドシートを着用していました。2歳半だったため、国の規則どおり前向きのチャイルドシート。座席にしっかりと固定される最新の製品で、肩や腰のベルトもすべて装着していました。
なのに、事故の衝撃で脊椎の骨折や、胸椎のズレが確認できたほか、脊髄が損傷していることがわかりました。
もしかしたら、チャイルドシートを後ろ向きにしていたら、衝撃を背中全体で受け止められていたので、これほどの重体にはならなかったかもしれません。
チャイルドシートの安全性についての第一人者で、国の交通安全環境研究所の田中良知主席研究員に聞きました。
日本の代表として、国連の専門部会で基準作りにも加わった田中さんは、国連の基準には、なぜ「1歳3か月まで」なのか、十分な根拠がないといいます。
まとめ
衝突事故の結果で、前向きのチャイルドシートの首にかかる衝撃は後ろ向きに比べて約6.8倍も高いことが分かっています。
子どもの命を守るのは、親の役目です。特別な理由がない限り、チャイルドシートは3~4歳になるまで後ろ向きにすることをおすすめします。